叛逆の勝負師

新橋遊吉
青樹社
1972.11.20 (定価420円)
状態:B(少しヨレ)

『師走の空は晴れ渡っていたが、星沼一馬の顔はその青空とは対照的に、レースが終わるたびに絶望的な暗さに変わっていった。今日、ノミ屋三百二十万円の借金をよりにくる。昨日、工場を売り払って工面した三百五十万の金も、十レースが終わったときには二十余万円に減っていた。もうノミ屋は家に来ているだろう。女房美奈の困り果てた美しい顔が、涙を堪えたような瞳とともに一馬の脳裏にちらついている。──美奈!美奈!しかいなんとかしなくては──
 その時、一馬は最後の勝負に、 美奈の名前から連勝番号を思いついた。美奈、数字で書けば、3・7。一馬は締め切りの迫った特券売り場へ祈るような気持ちで走って行った』
販売価格 SOLD OUT
売切れ

Top